指揮者ジョークにまつわるお話。
客席から見て良い指揮者に見える人と、
オーケストラにとって良い指揮者は違う。
オーケストラは、指揮者がどんなに酷かろうと、
良い演奏をしなければいけないのです。
何故ならお客様達は、
良くても悪くても指揮者には拍手、
演奏が良かったのは指揮者のおかげ、
演奏が悪ければオーケストラのせい、
だと思っている人が多いから。
するとどういう事が起こるか?
良い指揮者の時は勿論良い演奏が出来るわけで、
てんでダメな指揮者の時、
オーケストラはてんでダメな演奏をするわけにはいかないので
(※本当にただ邪魔をされると、崩壊します、
本人は大真面目に振っているんだけども・・・)
集合地点がコンサートマスターや
管打楽器セクションのトップに変わる、
こうなる事でオーケストラ本来の持ち味が出てくる。
普段一緒にやっているメンバー、タイミングもわかり易い。
とてもまとまった演奏になる。
結果。
指揮台の上で指揮者が邪魔をしてくるだけで、
(再々申し上げますが本人は良かれと思って振っています)
良い演奏になる事がある→指揮者がものすごーく評価される。
オーケストラ→苦笑、そして疲労。
良い指揮者は、
演奏会は指揮者の発表会ではない
という事を知っている。
拍手を受けるべきは自分ではなく、
実際に音を出した奏者達なのだと知っている。
知っている上でパフォーマンスをする人もいるし、
全部自分の功績だと思い込みつつも舞台マナーとして
とりあえずオーケストラを立てる指揮者もいる、
自分をどう見せるか、どこまで頭が切れるか。
オーケストラに好かれる指揮者かどうかは
舞台の上の奏者達を見ていると実にわかりやすい。
指揮者に対して奏者が一斉に拍手、拍足、
演奏を終えた奏者達が揃って笑顔、
オーケストラを立たせようとする指揮者に
あなただけで拍手を浴びて下さいという態度、
そして指揮者に笑顔で拍手を贈る、
こんな事してもらえるのが良い指揮者。
また、オーケストラに敬意を示す指揮者は、
カーテンコールなど指揮を振らない時に
指揮台に上がったりしないものです。
そこはお立ち台ではなく『指揮』台ですから。
いやいやオーケストラ側も仕事です、
舞台の上で取り繕って苦笑を隠し指揮者を立たせます、
ほんっとに腹が立っていたらそれもないけど。
でも奏者達の表情、拍手の仕方、足踏みをするか、
小さな事に、正直な気持ちが現れます。
お客様は指揮者にしか注目していないので、
ちょっと奏者に目を向けてみると面白いかもしれません。
さて、オケから嫌われる指揮者。
てんでダメな指揮者は舞台マナーもダメな事が多く、
オーケストラを立たせず、自分が指揮台に上がって拍手を浴びる。
さっきの曲でソロがあった人を立たせず自分だけ拍手を浴びる。
こんな時、奏者達の見せかけ拍手はアダージョ。
指揮者ジョークもなかなか沢山ありますが、
それはまた別の話。
そんな指揮者ジョークは、
こういった事情が元となっています。
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