2016年6月24日金曜日

びよら冗句

オーケストラにはビオラ(ヴィオラ)という楽器があります。
ビオラはバイオリンを一回り大きくした楽器。
バイオリンと同じようにアゴに挟んで演奏。

バイオリンの一番高い音の弦が無いかわりに
低い音の弦がもう一本↓
バイオリン→ ソレラミ
ヴィオラ →ドソレラ

さて、
オーケストラには長年語り継がれる
『びよら冗句』というものがあるのです。
楽器ジョークは沢山あるけれど、
ビオラ奏者を小馬鹿にしたジョークだけが山ほど。

その理由は。

ビオラという楽器を子供の頃から練習する人はいない。
あー、言いすぎました。
いや、いないでしょう、多分。いないよね、きっと。
この楽器を弾くようになる人のおよそ99%は
”バイオリンが上手じゃなかったからビオラに転向”
残りの1%、、、もいないかもしれない少数派は、
バイオリンはなかなか弾けたんだけども
ビオラの音が好きで、そのパートが好きで
バイオリンの先生に惜しまれつつもビオラに転向。
いや、真に受けないで下さい、
ちゃんと弾ける人ももうちょっとはいるかもしれない。
かもしれない。いるかなー。どうだろう。
※ジョークですのでまともに受け取らないで下さいね。

要するに、ほぼ全員が元バイオリン奏者なわけで。
それも、殆どがあんまり上手じゃなかった奏者なわけで。
こうしてこの人気の無い楽器を手に取ってみたわけで。

さてさて、ではどういう事が起こるか?
バイオリンが弾けなかった人達が
ビオラだったら急に上手になるわけないでしょう?
劣等生だった彼らが急にエリートと同じ舞台に立つ、
学年で一番だったバイオリニストしか就職出来なかったのに
ビリでビオラに転向した人が同じオケに就職出来ちゃう。
すると。

オーケストラのリハーサルで「びよらだけ合わない」
室内楽の練習で「びよら奏者が迷子」
休憩時間に、何やらトンチンカンな事を言い出す。
ちゃんと弾けるびよら奏者を探すのが至難の業。←本当。
出来る同僚と同じ土俵で自分も出来るフリが始まる。
でもね、誰も怒らない、特に気にしない、
だって、ビオラだもん。ビオリスト、そんなもんだよ。

かくして。
成績が悪くて苦しかったバイオリンから解放されて
目立つメロディーから、当たらない高い音から逃れて
身も心もすっかりおおらかになった彼らは
びよら冗句を理解する脳みそを持ち合わせてないので
何言われたって平気!
みたいなびよら冗句がどんどん出てきたわけです、
主にドイツで。

ここで、ビオラジョークをびよら冗句と書いているのは
インターネットが普及し始めた頃に
「げんさんのびよら冗句」というHPが内輪で流行、
ドイツ語のビオラジョークを日本語に訳しておられるようで、
この方に敬意を表して「びよら冗句」と書かせて頂いております。

※実際日本でオーケストラに就職しようと思うと
 成績ビリでビオラに替わった人には恐らく難しい。
 それでも↑仕事は、本当に彼らには山ほどありますが、
 (フリーのバイオリン奏者だと平均的にそんなに仕事が無い)
 就職出来る人はさすがに「平均」くらいから転向した人、かな。


では、恐らく職場でも最も有名なびよら冗句を一つ

オーケストラで、あるビオラ奏者が
いつも舞台に出る前に必ず上着の内側を見て
大きく頷いて舞台に出て行っていた。
ある時、気になった他楽器奏者が
ビオラ奏者が脱ぎっぱなしにしていた上着を拾い
その内側を見てみると、こんなメモが。
『楽器は左手、弓は右手』

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