2016年7月28日木曜日

繰り返しはあるのでしょうか

語り継がれている話。



ヨハン・シュトラウスという人、
ウィーンで、ワルツやポルカを沢山書いた人です。
彼の曲には、繰り返しが多い。
その繰り返しをいちいちするかどうかは、
毎回それを振る指揮者によって違い、
楽譜には「○野アリ、○田ナシ」などと書いてあります。

さて。

その演奏会では指揮者は繰り返しを指定せず、
「本番やりながら考えたいので、
 僕がポケットからハンカチ(ポケットチーフ)を
 出したら繰り返しはアリ、
 出さなかったらナシ、でお願いします。」

演奏会が始まった。
マエストロがポケットからハンカチを出す、
お、繰り返しありだな、演奏は続く。
繰り返し記号でマエストロは普通に振っている、
お、ここは繰り返しは無しだな、
こうやって演奏はスムーズに進んでいた。

演奏が続くと次第に暑くなってくる。
マエストロがポケットからハンカチを出す、
お、繰り返しはありだな、
そうオーケストラが思った瞬間だった。
指揮者はそのハンカチで汗を拭いた。

え?!どっち?!

繰り返した人、返さなかった人、
弾くのをやめた人、
とにかく、
オーケストラの音が急に小さくなり
現代音楽のような曲を奏でたのは間違いない。


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