語り継がれている話。
ヨハン・シュトラウスという人、
ウィーンで、ワルツやポルカを沢山書いた人です。
彼の曲には、繰り返しが多い。
その繰り返しをいちいちするかどうかは、
毎回それを振る指揮者によって違い、
楽譜には「○野アリ、○田ナシ」などと書いてあります。
さて。
その演奏会では指揮者は繰り返しを指定せず、
「本番やりながら考えたいので、
僕がポケットからハンカチ(ポケットチーフ)を
出したら繰り返しはアリ、
出さなかったらナシ、でお願いします。」
演奏会が始まった。
マエストロがポケットからハンカチを出す、
お、繰り返しありだな、演奏は続く。
繰り返し記号でマエストロは普通に振っている、
お、ここは繰り返しは無しだな、
こうやって演奏はスムーズに進んでいた。
演奏が続くと次第に暑くなってくる。
マエストロがポケットからハンカチを出す、
お、繰り返しはありだな、
そうオーケストラが思った瞬間だった。
指揮者はそのハンカチで汗を拭いた。
え?!どっち?!
繰り返した人、返さなかった人、
弾くのをやめた人、
とにかく、
オーケストラの音が急に小さくなり
現代音楽のような曲を奏でたのは間違いない。
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